小さな民話④

【鬼ヶ塚とお宮さん】

下津の家並みを過ぎた所から、遅瀬に向かう峠までをオニガツカと言う。その下の川にはオニ岩と言う巨石がある。下津の氏神は吉備津神社であるが、祭神吉備津彦命は古い昔、四道将軍の一人として吉備の国(岡山県)を攻め、吉備冠者「ウラ」と激しい戦いの上征服された。このことが桃太郎伝説となるが、岡山の吉備津神社と同じ祭神の上、オニガツカやオニ岩など同じ名がつけられていておもしろい。近くにはおばあさんが苧をつむいでいたと言う苧紡ぎ岩もある。同神社には古くから太鼓が奉納されていて、村に異変がある時は真夜中に太鼓の音が響くと言われている。

【烏ヶ淵の石地蔵】

桐山の「烏ヶ淵」の中に大きな岩があって、そこに石地蔵を切り付けてある。そのいわれと言うのは、豊臣秀吉が大阪城を築くとき、城の石垣に全国から巨岩、大石を寄せ集めた。この時、石地蔵は除くという但し書きがあった。烏ヶ淵の地蔵さんはこの時彫ったもので、大石を大阪まで運ぶ労役を免がれるためであったと言われる。