「カッコウ」って、なぜ鳴くの

むかし、ずっと昔のことやでー。
kaakouお母さんが、子供たちに「背中、かいてんかー。」と言ったけれど、泥だらけ、汗だらけの背中なんで、とてもイヤだったのだろう。子供たちは「イヤやあ」と言ったそうな。「たのむ、たのむさかいに、かいてよ。しんぼうでけへんのや。」ともう一回たのんだけれど、子供たちは知らんふりして「わあっ」と遊びに行ってしもうた。

困り果てたお母さんが見渡したら、一枚の「むしろ」が目についたと。「これや、これでええのや。」と、地べたに「むしろ」をひろげて、その上に寝っ転がって、ゴシゴシと背中をかいたそうな。

なんと気持ちのいいことだろう。何回もゴシゴシやっていたからだろうか。ふと気がついて、背中に手を伸ばしてみると、”ぬるっ”と血がにじんでいた。
こすり合ってめくりあがった背中の皮のすき間から「バイキン」が入ったのだろう、見る見るうちに、背中がふうせんのようにふくれあがってしもうた。
やがてそのふうせんがつぶれると同時に、お母さんは亡くなってしもうた。あまりにも悲しい出来事ではないか、子供たちはワンワンと泣きじゃくったそうな。

夕方になると、毎日お母さんのことを思いだしては、「お母さん、ごめんね、背中かくよう」
「かくよ、かこう、かこ、かこ・・・」「かっこ、かっこ、カッコウ、カッコウ」
澄みきった秋の夕暮れ、子供たちの叫びのように、カッコウ鳥が鳴くんやてー・・・。