嫁取り神

的野と、松尾や峰寺の「押谷」を結ぶ一本の山道があります。現在は広い道路が別の場所につけられ、車の利用も多くなったのでこの山道はほとんど使われていません。山道と言っても、旧東山村が山添村になるまでは、村人が役場等へ用事でいく場合はもちろんのこと、大字間の往来に、また学校、保育園への子供の通学に、なくてはならない重要な道路でありました。

yometorigamiその道程の中程に「嫁取り神」という所があります。そのあたりは、道の両脇に大木がうっそうと茂っていて、昼でもほの暗い、薄気味悪いような所です。子供がそこを通る時には、恐ろしさを感じて、一目散に走り抜けていました。

その昔「嫁入り」がここを通った時、お嫁さんが突然何物かにさらわれて、消え失せてしまうという恐ろしいことが起こったそうです。

それから後、村人はそこを「嫁取り神」と呼ぶようになり、同じことが二度と起きることを恐れて、まわり道をしてお嫁入りしたそうです。