であい(出会い)

的野の氏神さん、八幡神社の近くに「デアイ」という地名の所があります。

deai昔、的野と、隣接する現在の奈良市水間町との村境が定かでなかったころ、両方の村人の間ではいろいろと争いが絶えず、両村は不仲になって久しく縁組もなかったそうです。そこで、争い事のもとになる境界の取り決めに、よい方法はないものかと思案のあげく、一つのよい案を考え出しました。
それは、朝、山からお日様が顔を出すと同時に両方の村から総代さんが出発して、出会った所を村境にする、ということでした。決められた日、両方の総代さんは、日の出と同時に出発しましたが、的野は谷底の村で日の出が遅かったせいか、村を出発してほどなく、水間の総代さんと出会いました。それから後、こうして出会った場所を「デアイ(出会い)」と呼ぶようになりました。

しかし、「デアイ」はあまりにも的野に近すぎたため、水間の総代さんに後ずさりしてもらって、現在の村境に話は落ちついたそうです。
今から考えてみると、少しこっけいな話ですが、時計や地図のなかった昔のことですから、そうだったのかも知れませんね。