子洗いのお大師さん

天理~上野線の旧県道(今は国道25号線)、切幡と小倉の境界近くにお大師さんの祠があります。これが昔から由緒のある「子洗いのお大師さん」なのです。

koarainoodaisisan昔、弘法大師さんが旅の途中、ここにさしかかられた時、池の付近で、ひとりの婦人が産気づき苦しんでいました。
弘法大師は念仏を唱えながら、無事赤子をとり上げられ、この池で産湯をつかわされたといいます。
またこんな話も残されています。
お大師さんがこの池の付近で腰を降ろし、昼食をされました。弁当を広げられたが箸がありません。困ってあたりを見ると一本の柳の木がありました。
歩み寄られたお大師さんが頭を下げて「箸をわすれて困っています。痛いだろうが、わたしに恵んで下され」と一枝折って、それを箸にして弁当を食べられたのです。
食べたあと、池の水で柳の箸を清め、その箸に、ていねいにお礼を言って池の縁に挿しておかれました。

お大師さんのお礼言が天に通じたのか、逆さに挿された柳の箸が根づいて次第に大柳となり、それからずっとこの池を守り、道行く人々に親しまれてきたのです。この大柳も、寄る年なみのため枯れて、今はその二世となっています。