小さな民話②

【松尾の障子口】

室津へ出る坂の上を障子口と言う。ここにきつねが住んでいて、障子を立てかけたように見せたので、障子口と言う地名が起こった。

【四ツ辻狐】

室津から大保へ出る笠置道。丹生、北野山から水間へ出る奈良道の交差する所を四ツ辻と呼んでいる。
昔、北野山の馬子が炭を奈良へ運んだ帰り道、四ツ辻にさしかかると、突然美女があらわれて、馬に乗せてくれとたのんだ。馬子は馬の背に美女を縛りつけてわが家へ戻ったが、綱を解くと「ありがとう」と言ったまま姿を消した。このきつねは雌で、お糸ギツネと言う名前までついていたそうな。

【ネコ坂】

中峰山、天王参りの参道、一の鳥居を過ぎた松並木の坂道をネコ坂と言う。一名「ナミキ」とも言われるこの道、天王参りの時、「ここでころんだらネコになるから気をつけて」と親から言われてきた。どんないわれかはわからないが、今もってネコになった人はいない。