南都さん

scan氏神八幡神社境内(蓮華廃寺跡)付近の古屋敷から150㍍くらい北へ行った地、通称正覚坊(現在、素輪家屋敷内)の土蔵の横に、「南都さん」と呼ばれている宝篋印塔が建っています。

大樒(室戸台風で倒れた)の下に苔むして、ポツンと建てられた一基の小さい供養塔です。
それが今なお信仰の対象となっています。建てられた年代はわかりませんが、室町初期の作であることは確かなようです。

塔身に「南(都)禅尼」の銘があります。総長88㌢㍍、塔身の幅26㌢㍍、高さ16㌢㍍の小型のものですが、美しく整った塔です。

昔から「南都禅尼さんが、七日七晩鐘を叩きながら定に入るといって、穴の中に入っていかれた」と伝えられています。
何を願い、何を救おうとしての業かはわかっていませんが、現代では想像外の偉業を成し遂げられたと思います。

むらの人々はこの業を讃え、高徳を永く後世に伝えようと宝篋印塔を建てて供養しました。村人の信仰はいまなお篤いが、どうかすると祟られるといってあまり近寄らないようになってしまいました。

現在は、素輪家一族によって、定期的に、また、ことあるごとにお祀りしています。